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日常的に着物を着て、かまどでご飯を炊き、火鉢のある暮らしだった、昭和初期から昭和40年前後の思い出ばなし。
その暮らしぶりを教えてくれる人は、もうだいぶ少なくなってきている。
1922年生まれで、NHK第1期放送記者であった著者が、昔の暮らしぶりをこの本にまとめた。
本書は、「暮らしと家事」「買物と食生活」「ファッション」などといった8章からなる。
著者自身の体験による話はもちろんのこと、汽車賃や食べ物の相場などといった数字情報も掲載されており、当時の記録としても興味深い。
また、それぞれのトピックに関するエッセイ風の文章の後、たとえば、七輪や十能、藪入り（やぶいり）などといった、今ではお目にかかれない物や風習に関する注釈がつけられている。
さらに、巻末には索引もある。
気になる言葉を手がかりに、本文を繰ってみるのもおもしろい読み方だろう。
随所に見られるあたたかい雰囲気の挿し絵と描き文字が理解を深め、当時を知る人も、まったく知らない若い人も楽しめる本である。
最終章には、「どうしても伝えておきたいこと」として、不治の病として恐れられ、隔離政策がとられていたハンセン病についての記述がある。
これも、昭和を語るにあたって避けて通れない事実であり、知っておくべきことであろう。
（朝倉真弓）
内容（「BOOK」データベースより）
だんだん遠くなる戦前の暮らしの実情を明らかにした本。

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