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内容紹介
地方色豊かなわが国の風景を構成し茶室などのインテリアを彩ってきた土壁の伝統と現在を考えるなかで、そこに塗りこめられた左官の鏝(こて)さばきを改めて見直す。

著者について
【監修者・筆者紹介】
●山田幸一 やまだ・こういち
関西大学教授。
工学博士。
1925年、京都生まれ。
京都大学工学部建築学科卒業。
鹿島建設、大阪市立大学助教授を経て現職に。
と書けばその経歴はさほど異とするに足りぬかもしれないが、実は天明のころより二百年以上続き、御所などにも出入り、京都でも三指に数えられた由緒ある左官職「伏見屋」の当代だった、とのこと。
自らも左官業の心得あるも、学者生活に専念するため家業はたたまれた。
しかし、そのおかげで、わが国随一の、名実たがわぬ-壁博士-が誕生。
業界からの信頼あつく無類の世話好きと見えるのも誇り高き-職人-の血ゆえか。
著書に『壁』(法政大学出版局)、『日本の壁』(写真:井上博道 駸々堂)ほか。

●佐藤嘉一郎 さとう・かいちろう
左官職。
1921年、京都生まれ。
江戸期より続く井筒屋関谷家の別家・佐藤左官の三代目。
幼児より壁土の匂いのなかで育ち、少年期より現場に出入り。
京都市立第二工業学校建築装飾科で左官彫塑を学んだ。
業界で後進の指導のかたわら京都林泉協会、京都伝統建築技術協会。
京都史蹟と美術同好会、日本庭園研究会などの会員として幅広く活躍し、かつての京職人のたしなみを伝える。

●藤森照信 ふじもり・てるのぶ
東京大学生産技術研究所講師。
工学博士。
1946年、長野県生まれ。
東北大学工学部建築学科卒業、東京大学大学院博士課程修了。
神田で-看板建築-を見つけては感懐にふけり、銀座で煉瓦街の煉瓦が出たと聞けばかけつける。
「建築探偵団」の団長各。
その成果はひとまず『近代建築ガイドブック/関東篇』にまとまったが、「個人的には近代建築を探し歩いて全国踏破したい」と意気軒昂。
『明治の東京計画』(岩波書店)で1983年度毎日出版文化賞を受賞。

●平井聖 ひらい・きよし
東京工業大学教授。
同大学附属工業高等学校長を併任。
工学博士。
1929年、東京生まれ。
東京工業大学卒業。
「日本近世住宅の殿舎平面と配置に関する研究」で1969年度日本建築学会賞受賞。
十年がかりで刊行の『中井家文書の研究』(中央公論美術出版)全十巻もこのほど完結。
ちなみに中井家は、家康の頃から明治まで続いた京都の幕府付き大工頭発足二年目に入った学際的団体「日本生活文化史学会」でも副会長として活躍。
著書はほかに『日本住宅の歴史』(日本放送出版協会)など。

●斎藤金次郎 さいとう・きんじろう
名城大学大学院工学研究科修士課程(伊藤三千雄研究室)に在学。
1956年、青森県生まれ。
幕末から明治・大正期の漆喰装飾を調査・研究、山田幸一氏の指導のもとに三井銀行旧京都支店貴賓室復原。
西本願寺漆喰修復に参加。
前者については現在『日左連』誌にその報告を連載している。