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詩集『釣り上げては』で中原中也賞を受賞した著者の初エッセイ集。
物干し竿の売り声を真剣に考える「初めての唄」、鈴虫の鳴き声に耳を澄ませ、その絶妙な間をジャズにたとえる「鈴虫の間、ぼくの六畳間」、日本とアメリカで同じ女性とダブル結婚してしまう「欄外を生きる」、善意から団子虫の落下実験をする「団子虫の落下傘」、日本を訪れた理由を空からやってきた魚になぞらえる表題作「空からやってきた魚」など、ユーモラスなエッセイが52編収められている。
著者は在日アメリカ人だが、本書の魅力は「外国人の目で見た新鮮なニッポン」という決まり文句を超えたところにある。
何よりもすばらしいのはその「言葉」だ。
やわらかく、なめらかで、優しくて、ユーモアにあふれていて、内容やテーマ以上に言葉そのものが読み手を引きつけて離さない。
著者が書く詩がそうであるように、ひとつひとつの日本語が心地よく耳に響き、そのリズムの良さにまるで音楽を聴いているかのような気分になる。
また、主題に向けた温かい眼差しも魅力のひとつだ。
著者は物事を上から見下ろすような書き方はしない。
書きたいものそれぞれに目線を合わせ、ときには子どものような低い視線で世界を見つめる。
押し付けがましさがまったくない柔軟な眼差しに、読み手は自然と共感を覚えるはずだ。
ただ、各編が時間の流れに沿って並んでいないことや、話の内容が部分的に重なっていることなど、いくつか気になった点もある。
だがそうした外枠としての構成は、著者のつむぎ出した言葉ひとつひとつの輝きにくらべればささいなことに思える。
本を閉じた後、外に飛び出して、日本の見慣れた日常風景から自分も言葉をつむいでみたくなる。
本書はそんな温かさに満ちた1冊なのだ。
(小尾慶一)
内容(「BOOK」データベースより)
1990年にアメリカから来日し、2001年に中原中也賞を受賞した詩人による初のエッセイ集。
死に装束を着てみたり、ざざ虫に感嘆の舌鼓を打ったり、新興宗教信者にまちがわれたり…といった、なにげないようでいて驚きに満ちた日々のありようを、独特の感性から生まれる豊かな言葉でユーモラスに切りとる。
日常的な風景が新鮮な姿をまとって立ち現れる。
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2012/02/02 (Thu) 08:09:31
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2009/11/27 (Fri) 03:14:04
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