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出版社/著者からの内容紹介 楽しいのに静かに人生について考えさせる。
こういう小説はそうあるものではない。
北上次郎(本書解説より)
恋人由美子の心変わりの相手が兄貴でさえなかったら、ここまで苦しくはなかったのかもしれない。
傷心の祐介は、大学生活から逃れるように、信州菅平(すがだいら)の宿「かむなび」で働き始める。
頑固だが一本筋の通った園主(えんしゅ)、子連れでワケありの瞳子(とうこ)……。
たくましく働く明るさの奥に、誰もが言い知れぬ傷みを抱えていた。
由美子のあのほっそりした体が今この瞬間にも兄貴の腕に抱かれているかもしれないと思うと、僕は、噴きあげてくる嫉妬で叫び出しそうになった。
胃袋の底をライターの火でジリジリあぶられているような気がした。
たとえあの二人が別れたところで、僕と由美子は元に戻れない。
あきらめて忘れるしかないのだ。
いくら自分にそう言い聞かせても、痛みはおさまらなかった。
―――少しも。
――
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2013/05/05 (Sun) 10:49:10
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2011/12/30 (Fri) 07:02:26
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