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日経ビジネス 「賢明なる独裁者」の経営手腕
今や米国経済界の伝説にさえなりつつあるIBMの復活劇。
その立役者と言われる現最高経営責任者(CEO)兼会長のルイス・ガースナー氏の苦闘と改革の舞台裏を丹念に追ったのが本書だ。
臨場感あふれる記述で当時のやり取りを再現し、ガースナー氏の人間性を浮き彫りにしていく。
「賢明なる独裁者」として大なたを振るったガースナー氏は当然、周囲との間に軋轢を生んだ。
ロータス社の電撃買収に踏み切ったエピソードにも、その様子が子細に描かれている。
訳者は「単なる経営のノウハウ本と違って、財務、広告、製造などあらゆる現場の雰囲気をリアルに再現しドラマチックに仕上がった」とコメントしている。
ガースナー氏は「文字通り資産のガレージセール」と評されるほど冷徹なリストラを行った。
本書では、その判断の裏にある「自らの目と耳で確かめたことしか信じない哲学」や、「自分が楽しめる事業だけを残すしたたかさ」が明らかにされる。
著者は、ガースナー氏の手腕を冷静な目で分析。
「IBMはガースナーの手でアメリカのごく平凡な大企業になった。
彼は究極のプロ経営者であり実用主義者」だと評している。

(日経ビジネス2000/7/10号 Copyright©日経BP社.All rights reserved.)
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