ばいちょ(売価調査)、価格比較とネットでのお買い物を楽に

Amazon.co.jp 真のロングセラー商品は、日常生活に違和感なく溶け込み、ふだんは特別に意識しないものだが、だからこそ、その誕生の経緯を知ったときの感動は大きい。
「味の定番」「技術の定番」「暮らしの定番」の3分野、計18のロングセラー商品の誕生物語がマンガ化された本書では、そうした感動を手軽に味わうことができる。
ストーリーの中でもアイデアが生み出された瞬間がおもしろい。
のりと卵の朝食を前にして、これを手軽なふりかけにできないかと考えたことから生まれた「のりたま」、折りやすい溝がつけられた板チョコなどをヒントに生まれた「折る刃式カッターナイフ」、靴の汚れを落とすシュロのマットが掃除用具代わりに使われている様子をヒントに生まれた「亀の子束子（たわし）」など、興味深いエピソードが盛りだくさんだ。
一方で、関東大震災で店が被災した「ミルキー」の不二家や、戦時下の規制で生産中止に追い込まれた「柿の種」の亀田製菓、全財産を投じた真珠の養殖が赤潮の被害に遭った「ミキモトパール」のミキモトなどの例は、ロングセラーへの道のりが決して平坦なものではなかったことを教えてくれる。
また、江戸やそれ以前の時代に起源をもつ「養命酒」や「龍角散」の物語からは、商品の生命を守り続けていくことの重みが伝わってくる。
逆境を乗り越えていく「主人公」たちの果敢な姿から、さまざまな示唆が得られるはずだ。
シリーズ第2弾の本書は、前作より1編のページ数が増やされている。
それでも、もう少し詳しく読みたいという思いは残るが、商品誕生時の熱気はしっかりと伝えられている。
（棚上 勉）