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Amazon.co.jp 「第一冊」に続き、東大法学部で行われた1949年の「日本(東洋)政治思想史講義」を再現しているが、この年の講義は「ナショナリズム」の問題に絞っている点で特異である。
1949年。
日本のウルトラ・ナショナリズムの記憶がなお鮮明に残っている時代である。
しかし、丸山はその直接的な批判から始めるのではなく、そもそもなぜ近代化を遂げる国家がナショナリズムを必要としたのか、という問題を掘り下げて論じている。
批判をする前に知らなくてはならない。
これは「講義録」に通底する丸山の学生に対する徹底した呼びかけである。
「国民とは畢竟、国民たろうとする存在にほかならない」 民族意識が民族を作るのであって、その逆ではない、という立場に立ちつつ、民族意識がどのように萌芽し、発展を遂げていくかを、幕末から明治期の日本を対象に論じていく。
さらに、なぜ日本のナショナリズムは急激に帝国主義の形態をとることになったのか。
帝国主義が、他国のナショナリズムの否定を内包しているという自己矛盾をどう処理していくのか、といった問題へと進む。
近代化を達成する上でナショナリズムが不可欠な通過儀礼であったという問題を越えて、現代の一応の成熟期を迎えた我々にとっての民族意識とは何なのかを考察する上でも、必読の1冊である。
(三木秀則)
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2015/08/18 (Tue) 00:00:24
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