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短篇作品では卓抜な才能を存分に発揮しながら、長篇となるといまひとつ精彩を欠いていたイーサン・ケイニン(前作『For Kings and Planets』は膨らみすぎだった)。
しかしここへきて、自分の弱点をカバーする妙案を思いついたようだ。
『Carry Me Across the Water』は、見かけは長篇小説だが、実質的には短篇集なのだ。
しかもこの方法、見事に効果を上げているから驚きである。
主人公のオーガスト・クラインマンは、我が身の来し方を顧みる老富豪。
ウィーンの教養あるユダヤ人一家の息子として過ごした少年時代、母親とアメリカへ逃亡した1930年代、太平洋での戦争体験、ピッツバーグのビール王として君臨した日々、妻への愛と子どもたちとの不和をクラインマンが追想する。
というと、話はわりあいまっすぐに進むかに思えるだろう。
だがケイニンは、これをばらばらに砕いていくつもの魅力的なエピソードに仕立て、できごとが起きた順序などお構いなしに、なおかつ唐突に、個々の記憶をよみがえらせるのだ。
フラッシュバックをランダムに連ねることで、不格好に膨らみかねない長い小説が、著者にとって扱いやすくなっている。
と同時に、最高にのっているときのマーク・ヘルプリンを思わせるようなパワフルな文体を使って、分断された個々のエピソードがさほど小さく感じられないようにしている。
川下を見ると、激しく燃えさかる溶鉱炉が青黒い煙を空へと吐き出し、この地で採掘された原鉱石が人間の巧妙な発明によって梁や桁に姿を変えていた。
梁や桁はそのあと流れを下り、港や操車場や貨物トラックの倉庫へ、すなわち世界中のすべての大都市に向かって扇のように広がる商業の巨大な三角州へと運ばれていくのだった。
ケイニンは、一見仰々しい文体を短篇作家ならではの繊細な人物描写によって終始和らげながら、もくろみどおりの作品―― 20世紀のとある生涯の、読みごたえあるモンタージュ―― を完成させている。
--このテキストは、絶版本またはこのタイトルには設定されていない版型に関連付けられています。
Synopsis
Breathtaking in its suspense and beauty, Carry Me Across the Water tells the story of a man and his family, forging their lives against the backdrop of World War II and the heart of the twentieth century
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最終調査日時
2015/11/15 (Sun) 23:49:18
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